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抗がん剤を飲むのがつらい、副作用がしんどいとき
『抗がん剤』と聞くと、強烈な副作用をまず連想する方も少なくないと思います。
ドラマや映画では、「髪の毛が抜け落ちる」「体が痩せ細る」「肌が黒ずむ」といった副作用がよく描かれていますよね。
実際には、副作用を抑える研究が現在では進んでいて、みんながみんなそうなるわけでは決してありません。また、起こる副作用は患者さんや服用期間によっても大きく異なります。
僕の場合は、TS-1という飲み薬を約半年間服用し、食欲不振と吐き気の副作用が強く現れました。手術と入院で10キロ近くも体重が落ちていて、早く元に戻したいのにうまく食べられず、どんどんと体重が落ちていくことに焦りを覚えました。
もし抗がん剤を使うかを考える場面になったときは、抗がん剤について、ご本人と十二分に話し合っておくことをおすすめします。手術などについても「十分に」調べる必要がありますが、抗がん剤については「十二分に」です。
その理由は、抗がん剤がつらくなってきたときの精神的な支えを持つためです。
抗がん剤の副作用が続くと、「また飲むのか」「気持ち悪くなるから嫌だな」「吐き気が続いてつらいな…」と、次第にネガティブな考えに陥りやすくなります。退院して治療が一段落して精神的な疲れがドッと出てくるころでもあります。
そのときに「抗がん剤がどうやってガンに効いていくのか」を具体的にイメージできることは、心の大きな支えになります。
納得して始める、とまでは難しいでしょうが、「抗がん剤がどうガンに作用するのか」「治療後のリスクは何があるのか」「それを踏まえた上で、やはり抗がん剤を使うのか」など、本人と一緒にとことん話し合ってみてください。
その際、「抗がん剤には効果がない」「使用せずに完治する例もある」「命を縮める場合だってある」という意見も目にすると思います。こういった抗がん剤に対して否定的な見方についても話して結論を出しておくことは、とても重要だと思います。
抗がん剤を使って良かったのか意味があったのか、結局は数年経ったあとで結果を見ないと分かりません。どうしても、その時点での判断材料の中で決断するほかありません。
それならば、「この抗がん剤を使って病気と闘うんだ」と決めた結論を信じて前向きに治療に臨む方がずっと良いと僕は思います。
おわりに。患者さんに接する上で大切なこと。
ガンを患うつらさは、本人以外には分からないことかもしれません。
けれど、どういうことがつらいのかを知って、「つらいと思っていることは分かるよ」と言ってあげることならできます。周りが当たり前にできていることが自分にはできず、自分一人だけがしんどいように感じるとき、「つらいんだね」と理解してもらえることが、回復に向かう大きな力や勇気になります。
もう一つ、「ガン患者」として扱い過ぎないことも大切です。
免疫を上げる食べ物や生活習慣を勧めてあげることはとても良いですが、「病気だから」「調子が悪いのに」と病気であることを常に話題にしていると、「あぁ、わたしはガンなんだな」と本人に意識させ過ぎてしまうような気がします。
これはあくまで僕の自論ですが、「不健康だ」と強く自覚することで、心と体が本当により不健康に向かっていってしまうような気がします。
反対に、明るく前向きな気持ちは、身体を健康に近付けてくれるように思います。
現在30歳で1児のパパ。25歳のとき胃にステージⅠBの癌が見つかり、胃のほとんどと仕事を失う。
自分自身が患者として苦しかったことや、それをどうやって乗り越えてきたかなど、胃がん患者やその周囲の人に向けて「今より生きやすくなるためのヒント」を伝えられたらと、ブログを運営しています。