このページに書いてあること(目次)
「治療の期間を有意義に過ごせば良かった」
胃ガン発見から治療を終えるまで、普段であればなかなか取ることがないほどの長い休みがありました。
もちろんただの休暇ではなく治療の期間ですが、その中でも積極的に取り組めることは多くあったように思います。その期間をもっとその後の人生のために使っていれば良かったというのが三つ目の後悔です。
「会社に行けないから働けない」と勝手に決めつけて時間をつぶすように過ごしていたことを、なんてもったいないことをしていたんだろう」と今になって痛いほど感じます。病室にいる間にだって、挑戦できることは本当はたくさんあったはずです。
「治療期間は何もやらずに徹底的に休む」と決めて休むのであればもちろん良いと思うのですが、「普段通りにできない=何もできない」という考えはとてももったいないように思います。
いる場所が変わったって、できないことが増えたって、望むように生きていくための方法は考え方次第でいくらでも生み出せます。
僕自身、会社員以外の生き方を考えるようになって最近ようやくそのことに気が付きました。
そのことにもっと早くに気付けていたらなと思います。
おわりに。胃ガン治療の中で後悔を残さないために。
冒頭にも書いたとおり、行った治療が『良い選択』であったかは、数年経って振り返る中でしか分かりません。
末期ガンの患者さんが何の治療も受けずに数か月でガンを完治させる例もあれば、通常10万分の1以下の確率ですが、極端な話、手術で用いる麻酔によって命を落としてしまうことだってあります。
その患者さんたちにとっては、「治療を受けないこと」が『良い選択』であり、一方で、麻酔は『良くない選択』だったとも言えるでしょう。
しかし、僕たちが治療を考える際、一部の例だけを見て、「ステージ4でも治る例があるなら、わたしも治療を受けない」「10万分の1でも死ぬ確率があるなら、麻酔なんか受けない」と考えることは、現実的ではありませんよね。望むような結果が得られなかったとき、「もっと冷静に考えておけば良かった」ときっと後悔が残るはずです。
では、答えのない決断の場で、どうすれば後悔のない選択をできるのでしょうか。
何よりも大切なことは『知ること』です。
病気について、後遺症について、生存率について、治療後の生活についてきちんと知り自分の頭で考えることが大切です。
さきほどの末期ガンからの完治の例ですが、その一部の奇跡的な回復例の裏には、奇跡的な回復を妄信して根拠もなく治療を拒んだあと、手遅れになってから病院にやってくる患者さんが多くいるそうです。
また残念なことに、ガン患者の弱みに付け込み、効果のない商品を高額で売りつける詐欺も存在します。
そういったことについて知らずに治療を決めてしまえば、あとになってから取り返しのつかない涙を流すことになるかもしれません。
民間療法を例にしましたが、病院で行う標準治療でも同じことが言えます。
「先生が言うから」「それが普通の治療法らしいから」という理由で治療を決めるのではなく、その治療がどれくらいの確率で成功するのか、失敗したときどんなことが起こるのか、失敗した後からほかの選択肢に切り替えられるのかなど、前もってきちんと知っておくことがとても大切です。
最終的な選択が先生の提案した内容とまったく変わらなかったとしても、きちんと知った上で自分の頭で考えて選択すれば、「この治療でガンを治すんだ」と前向きな意志を持って治療に臨むことが出来ます。
きちんと情報を集め、自分で考えながら治療を進めていくことこそ、胃ガン治療の中で後悔を残さないためにもっとも重要なことだと僕は思います。
現在30歳で1児のパパ。25歳のとき胃にステージⅠBの癌が見つかり、胃のほとんどと仕事を失う。
自分自身が患者として苦しかったことや、それをどうやって乗り越えてきたかなど、胃がん患者やその周囲の人に向けて「今より生きやすくなるためのヒント」を伝えられたらと、ブログを運営しています。