後悔のない選択をするためには、病気や治療についてきちんと理解し、自分の頭で十分考えることが大切です。これから治療が始まる方、あるいは今すでに始まっている方が、「本当にこの治療で良いのだろうか」と不安になったときに読んでほしい内容です。
このページに書いてあること(目次)
はじめに。『良い治療』は自分で決めなくてはいけない
こんにちは、ぽこパパです!
今回は、胃ガンの治療の中で後悔していることについて僕の実体験を紹介しています。
僕は25歳のとき胃ガンの治療を受けたのですが、「もっと調べておけば良かった」「もっと慎重に考えてから決めていれば良かった」と、今になって後悔していることがいくつかあります。
(行った治療の詳細はこちら⇒起こったできごと丸ごと総まとめ!胃ガン発覚から完治までの経緯)
すり傷に塗り薬をつけるのとは違って、胃ガンの治療ではさまざまな問題が一度にのしかかってきます。ガンを取り除くことがもちろん最重要ですが、同時に、ガン再発や後遺症・合併症のリスクなど、治療を終えたあとのことについても考えなければなりません。
『総合的に良い治療』がどれであるかは、結局、数年後になってみないと分かりません。
治療をした後で、ほかの治療をした場合の結果と比較することもできませんし、あとから後悔しても結果は変えられません。きっと精神的にも良くないはずです。
だからこそ、「この治療で胃ガンを治す!」と信じて治療に臨めるよう、治療を決める段階で十分に考えておく必要があります。
結果がどう転ぶかが分からない以上、『良い治療』が何かは自分で決めるしかありません。
これから治療に臨む、あるいは今すでに治療中の方が後悔の残らない選択をする上で、僕の体験が少しでも参考になると嬉しいなと思います。
「お医者さんに任せきらずに、自分できちんと選択すれば良かった」
胃ガンの診断から治療が始まるまで、毎日があっという間に過ぎていくような印象でした。
それまで病気とは無縁で生きてきた僕はガンについて何も知らず、次々と浮かんでくる疑問や不安について調べるだけで手一杯でした。
胃ガンってどんな病気?
どうやって治療するの?
どんな病院が良いの?
副作用は?
再発は?
・・・
これらの多くの問題を抱えたときに、主治医の先生に任せすぎてしまったことが一つ目の後悔です。
本やインターネットを調べてさまざまな話を目にするうち、結局どれが正しいのか分からなくなり、「病院の先生が言ってることがきっと一番正しいよね」と考えました。
実際、先生の言う方法がベストな方法だったのかもしれません。
すべての方法を自分で調べてから決めるなんて非現実的ですし、ほかにも方法があるんじゃないかと治療を先延ばしにしている間に手遅れになっていた可能性だってあります。
ですが、ただ「お医者さんが良いと言ったから」という理由で選択したせいで、後遺症や合併症などで苦しいときに、「本当はもっと良い方法があったんじゃないか」と考えてしまうことが今でもあります。
そう思うきっかけは、治療を終えてしばらく経った後で『重粒子線がん治療』という治療法があることを知ったことでした。たまたまマンガで読んで知ったのですが、詳しく知らないどころか聞いたことすらありませんでした(赤字をクリックで説明がでます)。
聞いたことのない治療があるということがとても恐ろしく思えました。
調べてみると、放射線治療は胃ガンに対しては効果が低く、治療が行えるケースは少ないそうです。また、治療費が300万円ほどかかることを考えると、まだ治療例の少ない先進治療にそれほどの高額の治療費を払ってまで治療を受けていたかどうかは分かりません。
しかし、重粒子線がん治療について知らなかったように、僕が行った治療よりももっと良い治療があることを知らなかったかもしれないのです。
胃を切ったことで、ダンピング症候群や腸閉塞などの後遺症・合併症が今でもときおり起こっていますが、そんなときには「胃を取らずに済む方法があったのかな」と、つい考えてしまいます。
「先生がこの治療法が良いと言ったから」という理由で治療を選び、自分自身で納得いくまで調べなかったことが一つの後悔です。
「もっと周囲を頼っていれば良かった」
胃ガンであることは、家族と上司のほかに、本当に仲の良い友人数人にしか打ち明けていませんでした。しかし、1年で体重が15キロ以上も落ちれば(68キロ→52キロ)、体調に変化があったのは一目瞭然だっただろうと思います。
当然久しぶりに会う知人からは、「痩せたよね。何かあった?」と聞かれるのですが、胃ガンになって胃を切り取ったとは言い出せず、「仕事中、なかなか食べる時間がなくて」などとはぐらかしていました。
なんとなく病気であることを知られたくないという思いと、気をつかわせたら悪いという思いがありました。
ですが、今ではもう少し図太い考え方に変わりました(笑)
もちろん誰かれ構わず話して回るような内容ではないですが、「もう少し周りの力を借りていれば良かった」と思います。
胃ガンであることは、別に悪いことでも恥ずかしいことでもないのに、一度「人に言わない」と決めると、秘密を隠してるような気がして、後ろめたい気分になりました。
また、「誰にどこまで話したっけ・・・」と相手によって話す内容を変えるのも、気が疲れました。
これはあくまで僕の考え方ですが、周りの人にある程度正直に話してしまう方がストレスを感じずに済みます。自ら進んで胃ガンと言って回る必要はありませんが、「何かあったの?」と聞かれたときに「胃の病気して食べられなくなっちゃって」くらいには答えてしまっても良いかもしれません。
話した相手から治療に役立つ情報を教えてもらえるということもありますし、また、何がしんどいかを言葉にして伝えることで、感情の整理にもなります。
ガン専門の電話相談サービスなどもありますが、やっぱり、自分のことを知っている相手から理解してもらえることが一番心強いように思います。
僕自身も、いまは聞かれたことには答えるようにしています。
隠さずにいることで、誰かと食事をするときや体調に少し不安がある場面でも、とても気が楽になりました。
痩せたことに気が付かれないようにしたり不自然な嘘ではぐらかしたりと、余計な気疲れをするくらいだったら、はじめから周囲に話して頼っていれば良かったなと後悔しています。
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現在30歳で1児のパパ。25歳のとき胃にステージⅠBの癌が見つかり、胃のほとんどと仕事を失う。
自分自身が患者として苦しかったことや、それをどうやって乗り越えてきたかなど、胃がん患者やその周囲の人に向けて「今より生きやすくなるためのヒント」を伝えられたらと、ブログを運営しています。