テレビなどが作るイメージではなく胃ガンの実際を知らなければ、胃ガンを克服するための正しい対処方法を考えることはできません。治療に対して漠然とした不安を抱えている患者さんに向けた内容です。
このページに書いてあること(目次)
はじめに。イメージに流されて対処を誤ることこそ治療の「最大の失敗」
こんにちは、ぽこパパです!
今回は、胃ガンになって分かった胃ガン治療のイメージと実際についてまとめました。ご自身や大切な人に胃ガンが見つかり、これから始まる治療に不安を感じている方に向けた内容です。
テレビドラマや映画などでは、ガン患者が亡くなったり重い後遺症に苦しまされるシーンがよく描かれていますよね。実際にガンに対してそのようなイメージを強く持つ方も少なくないと思います。
ですが現在では、研究の進歩もあり、必ずしも「ガン=死の病気」ではありません。
抗がん剤の副作用や後遺症の度合いも患者さんによってさまざまです。
事実とは異なるイメージのせいで、回復や生に対する希望を失ったり、助かるはずの命を落としたりすることほど残念なことはありません。
偽のイメージに流されて対処を誤ることこそ、治療における最大の失敗であると僕は思います。
視聴者を泣かせるために作られた「イメージ」と「実際の治療」は区別しておく必要があります。
そこで、僕が25歳のときに行った胃ガン治療の実体験をもとに、病気になって初めて分かった胃ガン治療のイメージと実際とのギャップについて記事の中で紹介していきます。
(僕が行った治療の詳細はこちら⇒【総まとめ】胃ガン発覚から治療までの経緯)
「イメージ」に振り回されるのではなく胃ガン治療の「実際」について知り、胃ガンに正しく向き合うための情報にほしいなと思います。
病気へのショックの感じ方
大きなケガや病気をしたことがなかった僕がまさかガンを患うだなんて、想像もしていませんでした。
そのせいか、「胃にガンが見つかりました」と病院で聞かされたときも、どこか他人事のような感覚だったのを覚えています。
ふだん本やドラマの中でしか耳にしない「胃ガン」という存在が身近に、それもよりによって20代の僕の元に訪れるなんて、すぐには理解できなったのかもしれません。
ドラマなどでは、泣き崩れたり、生に詰め寄ったりするシーンをよく見かけますが、僕の場合、そのイメージとは違っていました。
胃ガンになったことのショックを感じ始めたのは、むしろ胃の摘出手術を終えてからでした。
胃を切り取ったせいで食事がうまく食べられなかったり、抗がん剤の副作用で気分が悪くなると、「あぁ、やっぱりガン患者なんだな」「普通の身体じゃなくなったんだな」と痛感し、気分がひどく落ち込むことがしだいに増えました。
ふつう悲しいことや残念なことは、時間が経つにつれて薄らいでいくものですが、ショックが大き過ぎる場合には、そうではないのかもしれません。だいぶ後になってからひどく落ち込むこともあれば、心が傷ついていることに本人も周囲も気が付けないこともあるようです。
ガンの治療が進む中で気分が落ち込んだりしたときには、一つひとつを具体的に認識しながら受け入れていくことが大切です。
「うまく食べられないことがつらい」「前と同じように働けないことが悲しい」など、自分だけが読めるメモ書きで良いので、自分の目であらためて見れる形に書き出すようにしましょう。
(悲しくなったとき、落ち込んだときはこちら⇒『胃ガンの治療中、気分が落ち込んだときに大切なたった2つのこと』)
また、周囲の方は、「本人がショックをうまく受け止めきれていない」「後になってから悲しい気持ちが強くなる」といった可能性を知っておくと良いと思います。
抗がん剤の副作用の出方
抗がん剤を使うことを決めるとき、髪の毛が抜け落ちる、身体がやせ細る、肌が黒ずむといった副作用がまず思い浮かび、副作用に苦しむ自分の姿を想像すると、本当に気が滅入りました。僕と同じように、「抗がん剤は患者さんの見た目をすっかり変えてしまう」というイメージを持つ方は少なくないと思います。
しかし実際には、一口に抗がん剤と言っても多くの種類があり、それぞれ出やすい副作用/出にくい副作用があります。
下の表は、『脱毛』の副作用が起こる頻度を表したものです。
『脱毛』の副作用で言えば、90%以上の割合で脱毛を起こすものから、10%未満でしか起こらないものまで、抗がん剤の種類によって「起こりやすさ」に大きく差があることが分かります。
(東京大学医学部附属病院 外見ケアワーキンググループの資料より http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/gaikenQA.pdf)
僕の場合は、TS-1という飲み薬を服用したのですが、脱毛が起こらない代わりに、強い食欲不振と吐き気に苦しみました。
TS-1を使えば脱毛が絶対に起こらないというわけではありませんし、あくまで結果論ですが、「抗がん剤を使うとみんな髪が抜けてしまうんだろうな」とイメージしていた不安は、余計な心配だったと言うこともできます。
10%未満の可能性を心配するよりも先に、TS-1で起こりやすい副作用への対策を考えるべきだったなと思います。
抗がん剤の使用を検討する場面になったら、まず初めに、使う抗がん剤にどんな副作用が出やすいかを知っておき、副作用対策の優先度を考えておくと良いと思います。
その際、インターネットや本を使って情報を集めるのも良いのですが、書かれてある例が「よく起こること」なのか「まれにしか起こらないこと」なのかを、医療知識のない僕たちが判別するのは困難です。
正しい副作用対策を考えていくためには、やはり多くの場合、病院が一番頼りになります。
治療に対して不安や抵抗感があることを伝えれば、ほかの選択肢を提案してくれたり、副作用やストレスを和らげる対処法を一緒に考えてくれることもあります。
また、病院によっては『医療相談室』という場所があります。
『医療ソーシャルワーカー』と呼ばれる専門の相談員が、治療や抱えている悩みについての相談を受けている場所です。(赤字をクリックで説明が出ます)
医療相談室で相談した内容はあとから先生に伝えてもらうことができるので、先生に時間をかけて相談しづらいようなことや、精神的な悩みについて相談したいときに特におすすめです。(もちろん相談内容を先生に一切伝えないこともできます)
僕自身、実際に2、3回利用しましたが、漠然とした不安や心配ごとを整理したいときに、とても頼りになりました。
次ページ:『胃摘出後の食事』について
現在30歳で1児のパパ。25歳のとき胃にステージⅠBの癌が見つかり、胃のほとんどと仕事を失う。
自分自身が患者として苦しかったことや、それをどうやって乗り越えてきたかなど、胃がん患者やその周囲の人に向けて「今より生きやすくなるためのヒント」を伝えられたらと、ブログを運営しています。