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胃摘出後の食事
胃の4/5を摘出してから、現在3年半が経ちます。
「4/5取るということは、食べる量がこれまでの1/5の量になるんじゃないか」と想像していましたが、イメージしていた食生活とは良い意味でかなり違っています。
たしかに、摘出してからしばらくの間は、ほとんどのものが食べられませんでした。
術後初めての病院食では、粒が見えないくらいサラサラしたお粥が出たのですが、スプーン5杯ほどしかないお粥を「よく噛んで、1時間以上かけて食べてくださいね」と言われたときには、「どうやって!?」と、看護師さんについ聞いてしまいました。笑
退院後もしばらくはほとんど量を食べられない時期が続き、白米、ケーキなど血糖値がすぐに上がりやすいものや、腸に詰まりやすい根野菜などを食べると体調を崩すことも多くありました。
毎食のようにダンピング症候群を起こし、食事の時間が来るのが憂うつですらありました。
一方、摘出から3年半が経過した現在では、 イメージしていたよりもよっぽど楽に食事が摂れるようになりました。体の不調も頻繁には起こりません。
胃は、健康な人と比べて1/5の大きさしかないはずですが、大人の女性が食べるくらいの量までには戻ってきました。一口、二口ずつ味見する程度ですが食べ放題なんかに行ったりもしますし、コーヒーやお酒も普通に飲めています。
ダンピング症候群はまだ2か月に1回程度起こりますが、気分が悪くなる前兆や、悪くなったときにどうすれば回復するかなど、体のクセと対処の仕方が分かってきた分、あまりストレスには感じません。
インターネットや本を見てみると、回復の仕方は患者さんによってさまざまなようです。
「何を食べても気持ち悪くなった」「全然食べられるようにならず流動食が長く続いた」と長く苦戦している例もあれば、大したトラブルもなく順調に回復したという例もあります。
回復の例としてそれらを知ることは参考にはなりますが、振り回されて一喜一憂することにあまり意味はないように思います。
術後の体調がどうであるかは、やはりそのときになってみないと分かりません。ほかの患者さんがどうであるかということより、お医者さんと相談しながら、「自分はどんなことができるか」を理解していくことが大切だと思います。
終わりに。イメージに流されず、「自分にとってのリスク」を知り対策することが大切
『胃ガン』という病気について知る上でイメージを持つことはとても重要ですが、イメージのせいで、反対に自分自身に合った正しい治療が分からなくなることがあります。
視聴者の涙を誘う目的で作られたテレビの中でのイメージや、セールスのために保険会社や医療メーカーなどが強調しているイメージがあることは知っておき、実際の治療を正しく知ることが重要です。
多くのリスクに備えることは望ましいですが、すべてのリスクに備えることは不可能です。
自分にとって重要なリスクとそうでないリスクとを、区別しておく必要があります。
「多くの人がテレビで言っていたから、わたしも・・・」ではなく、「自分にとってのリスク」を理解した上でそのリスクを防ぐ・減らすことが、胃ガンのリスクへの正しい対策ではないかと僕は考えています。
現在30歳で1児のパパ。25歳のとき胃にステージⅠBの癌が見つかり、胃のほとんどと仕事を失う。
自分自身が患者として苦しかったことや、それをどうやって乗り越えてきたかなど、胃がん患者やその周囲の人に向けて「今より生きやすくなるためのヒント」を伝えられたらと、ブログを運営しています。