実際に利用していた僕自身の経験をもとに、各相談窓口の使い心地、便利な点や不便な点についてまとめています。治療中の方だけでなく、再発や家系・遺伝的なリスクに不安を感じている方にも役立つ内容です。
電話番号やサイトリンクを載せているので、まずは連絡できるところから連絡してみましょう。すべて無料で利用できます(電話代など除く)。
このページに書いてあること(目次)
はじめに。一人きりで抱え込まないことが大切
こんにちは、ぽこパパです!
今回は、胃ガンについて相談できる窓口を紹介します。
ガンを宣告された方は、さまざまな疑問や不安と向き合っていることだろうと思います。
誰かに相談したくても、大きな病気であるだけに、誰に相談したらいいのか悩んでしまいますよね。
誰にでも知られていい内容ではないし、話した相手がどう思うかも気になります。
けれど、一人で、あるいは家族だけで問題に立ち向かうというのは、想像よりも何倍も苦しいものです。
家族に相談することで精神的な問題は和らげることができますが、家族だって、患者さんとは別の種類のショックや不安を抱えた状態です。治療が進む中で、患者さんと同じように傷つき、疲弊していきます。
また、医療の専門知識や実際の治療現場の中で起こる問題については、医療の素人だけで予測したり対処するにはどうしても限界があります。インターネットや書籍である程度は知識を補えますが、根拠のないデマや商売のために誇張された情報を見極めるにもしっかりした知識が必要です。
胃ガンに立ち向かうには、病気への疑問点や不安、精神的な悩みについて相談できる『拠りどころ』を見つけておくことが重要です。
そこで今回は、胃ガンについて相談できる場所やサービスを紹介します。
「現役医師や薬剤師、栄養士らが相談を受け付けている」「24時間対応している」「無料で何度でも利用できる」などそれぞれに特長があるので、比較しながら利用しやすいところを見つけてみてください。
相談相手は、「何でも話せる強力な一人」を見つけるよりも、さまざまな視点からバランスよく話が聞けるように数か所の相談場所を作っておくのが望ましいです。最終的にどの窓口をメインで利用するかは比較しながら考えれば良いので、記事の中で利用できそうなもの、良さそうだと思うものがあれば、まず連絡してみるのが良いですね。電話番号やリンクを一緒に載せておくので、ぜひ活用してください。
医療相談室を利用する
通っている病院に医療相談室という場所はありますか?ある場合は、まずはそこで情報を整理するのが良いと思います。
医療相談室では、『医療ソーシャルワーカー(MSW)』と呼ばれる職員さんがおもに患者さんの心理・社会的な問題についての相談を受けています。
病気や治療の細かい部分については担当のお医者さんに聞くのが一番ですが、医療ソーシャルワーカーの方から治療のおおまかな流れや社会復帰までの段取りについて聞いておくと、治療の全体像がつかみ易くなります。全体の流れが分かっていた方が漠然とした不安を少なくすることができますよね。
「もし今の会社で働けなくなったら、どんな働き方があるのか」「治療費は全部でいくらかかるのか」「別の病院で治療を受けられないか」など、今後の検査や治療後の生活についての不安や疑問は、医療ソーシャルワーカーの方と相談して解決しておくと良いでしょう。
メリット:
- 病院の中で開かれている分、病院内のことについても詳しく話ができます。病院周辺の医療施設にも詳しいので、提携施設や別の病院をスムーズに紹介してもらえます。
- 相談内容を病院で共有してくれます。電話相談などでは毎回相談員が変わり、治療状況についてゼロから説明しなくてはいけませんが、医療相談室では前回の相談内容の続きから相談を始めることができます。また、相談内容を後日先生に共有しておいてもらうこともできます。
デメリット:
- 予約してから利用できるまでに時間がかかることがあります。僕の病院ではいつも予約してから1週間ほどかかりました。急いで相談したいことがある場合には向いていないかもしれません。
- 面と向かって相談するので、「こんなことまで相談したら悪いかな」「うまく言葉にできないからこのことは話さない方がいいかな」とどこか遠慮して、本心から悩みを相談しづらいかもしれません。
電話相談サービスを利用する
無料で利用できる電話相談窓口もいくつかあります。電話通信代は自己負担です。
『がん情報サービスサポートセンター』
がん情報サービスサポートセンターは、国立がん研究センターのがん情報センターが設けている相談窓口です。
土日祝を除き、毎日10~15時まで受付。相談時間は原則一回につき20分間です。
電話:0570-02-3410(ナビダイヤル。携帯からだと1分30円)
電話:03-6706-7797(通話代定額プランなどに入っている方はこちら)
がん相談支援センター
『がん相談支援センター』とは、がんについて専門的な治療や情報提供などを行う病院として厚生労働大臣から認められている病院に設置されている相談窓口です。全国で400以上の施設に設置されていて、がん専門の相談員や、病院によっては専門医、栄養士、薬剤師などが相談に乗ってくれます。
こちらから、ご自宅近くのがん相談支援センターを探すことができます。
がん相談ホットライン
日本対がん協会が設けている相談窓口です。
こちらでは、社会福祉士の方が相談に乗ってくれる窓口とは別に、国立がん研究センターで部長を務めた経歴などを持つお医者さんが相談に乗ってくれる窓口が設けられています。
- 生活全般について、看護師や社会福祉士に相談したい場合
電話:03-3541-7830(祝・年末年始除き毎日10~18時。原則20分間) - 治療について、医師(OB含む)に相談したい場合
電話:03-3541-7835(平日10~17時。1週間前から先着順で予約開始。原則20分間)
がん研有明病院
がん研有明病院が、アフラック、産経新聞社と共同で設けている相談窓口です。『月曜日は専門医が担当』、『火曜日から木曜日はカウンセラーが担当』と、曜日によって担当が分かれています。
専門医への相談は、「その週の月曜日、産経新聞に掲載されたテーマについてのみ相談可能」「相談は先着順で一度限り」という利用条件があります。また、回答が後日になることもある点に注意が必要です。
電話:03-5531-0110(金曜・土日祝は休み。平日11~15時)
メリット:
- 困ったとき、すぐに利用できるのが便利です。病院で受けた説明について相談したいと思えば、病院を出た後にでもアドバイスを求めることができます。また、気持ちが落ち込むなど心理的な問題を抱えたときには、自分のそのときの率直な気持ちを話して、より効果的なカウンセリングを受けることができます。
- 電話一本で済むので、面接相談などに比べて時間がかかりません。
デメリット:
- 時間帯によっては、長い間電話がつながらないこともあります。がん相談支援センターであれば、全国に分散している分、比較的つながりやすいと思います。
- 担当の相談員が付くわけではないので、相談のたびに病状や希望をゼロから伝える必要があります。20分という時間の中では、なかなか話が前に進まないと感じるかもしれません。
面接相談を利用する
さきほど電話相談の窓口として紹介した日本対がん協会では、お医者さんとの面接相談も行われています。予約できる枠は少なめですが(面接相談が可能な時間を調べる)、「顔の分かる相談相手の方が安心できる」という方には心強いですよね。
面接相談を受ける際には、電話での予約が必要です。
電話:03-3541-7835(平日10~17時。2週間前から先着順で予約開始。一人30分間)
僕は面接相談を受けなかったので感想は書けませんが、「いつも診てもらっている担当医に相談しづらい内容がある」「セカンドオピニオン外来を受診するほどでもないけど、別の意見が聞きたい」というような場合には良いかもしれません。30分間は相談時間が確保されていること、相談が無料であることはメリットと言えそうです。
しかし反対に、そういった特別な場合でもなければ「ぜったい面接相談を利用しなきゃ!」とおすすめする理由も思い浮かびません。ふだん診てくれている担当のお医者さんの方が検査データをもとに細かい話ができますし、別の意見を聞くのは電話相談などでも十分だろうと思います。
保険の比較相談窓口を利用する
悩みや不安を解消するための一般的な相談窓口とは趣旨が異なりますが、ガン保険の比較相談窓口も利用してみる価値があります。おすすめしたい一番の理由は、最新の治療も含めて、ガン事情について幅広い説明が受けられることです。
病院には、それぞれ『得意な治療』『昔から実績のある治療』というものがあり、はじめからそれに絞って治療計画が進められる傾向があります。腹腔鏡手術の上手な先生がいない病院では開腹手術を勧められるでしょうし、最新の検査機器がそろっていなければ、その病院で受けられる古い検査についてしか最初から説明されません。
一方、保険の相談員は、「〇〇病院の△△先生が治療をする」ということを考えない分、胃ガン治療で行われる治療についてまんべんなくすべてを説明してくれます。先進医療についてももちろん知ることができます。
どのような治療を受けるかはその後の一生に大きく影響するはずなのに、はじめからその病院で受けられる治療のことしか知らないというのは、とても恐ろしいことだと思いませんか?幅広い治療の選択肢について知った上で、治療を選択していくべきです。
先進治療も含めたガン治療全般の事情について、2時間程度かけてじっくりと説明が受けられることは、保険相談を利用する大きなメリットです。その上無料で利用できるとなれば、上手に活用しない手はありません。
「でも、ガンになっちゃったからどうせ保険になんて入れないし、相談するのは悪い気がする・・・」
そう考える方もいらっしゃいますよね。ところが最近では、「持病がある=保険に入れない」という常識は変わってきています。
保険会社のコマーシャルで、「持病があっても入れる」というようなフレーズを耳にしませんか?一度病気をすると、たしかに一般的な保険に加入することは厳しいですが、「持病があっても入れるタイプ」の保険は十分あります。最初から保険を諦めて選択肢から外す必要はまったくありません。
ここでは、持病がある人向けのガン保険を特に積極的に紹介している代理店をいくつか紹介します。
相談はいずれももちろん無料な上、黒毛和牛やチョコレートの詰め合わせなどがもらえるキャンペーンも行われています。相談をお願いしたから加入しなければいけないというわけではないですし、僕も実際にお願いしましたがしつこい勧誘などはありません。まずは気楽な気持ちで申し込んでみましょう。
比較相談を受ける際の注意点:
代理店によっては、「持病があること」を伝えると保険の紹介を断られることがあります。(上記の代理店ならOKです!)代理店ごとに紹介できる得意ジャンルが違っているので、それは仕方がありません。持病や既往歴を隠して申告しても何も良いことがないので、治療状況については、面談を予約する時点で、はっきりと申告しておきましょう。
メリット:
- 病院とは違った視点から胃ガン治療について知ることができます。
- 治療費が全部でいくらかかり保険でいくらか戻ってくるかなど、治療全体で必要になる費用を知ることができます。いくら備えがあれば足りるかを具体的に計算しておくことで、費用の心配なく治療に専念することができます。
デメリット:
- あくまで保険商品について説明を受けることが前提なので、「ガン保険や持病保険にはぜーったい入らない!」という方にはおすすめできません。興味のない話を2時間聞き続けるのは結構しんどいです(笑)反対に、「保険なんて考えたこともなかったけど、もし持病のあるわたしでも保険の選択肢があるなら聞いてみたい」という方にはとてもおすすめです。さきほども書いた通り、ガンになったら二度と保険には入れないという常識は変わってきています。
- 「まさにこれから治療に入る」「すでに治療中」という忙しい患者さんが保険のことまで考えようとするのは、デメリットの方が大きいかもしれません。考えることが多くなり過ぎて疲れてしまいそうですよね。治療がひと段落ついたタイミング、心と体に余裕があるタイミングで良いと思います。
おわりに。相談員との相性や「当たり外れ」も。まずは一度連絡を。
いかがでしたか?
身近なかかりつけの病院から、国立がん研究センターのようながん専門の病院まで相談窓口があることを見てきました。場合によっては、保険の相談員だって頼もしい相談相手になることを確認してきましたね。
一言に相談窓口といっても、それぞれに特徴があります。同じ悩みを相談しても、お医者さんとカウンセラーでは返ってくる答えが違いますし、正直、相談員との相性や「当たり外れ」だってあります。どれが一番おすすめということはないので、まずは一度、できればすべてに連絡してみて、その中から相談しやすいもの、自分に合った的確なアドバイスをくれるところを残していくのが良いですね。
冒頭で「一人きりで抱え込まないことが大切」と書いたように、いざというときに相談できる『拠り所』は、なくて困ることはあっても、多く見つけておいて損にはなりません。多くの方に悩みを相談することでさまざまな意見や情報を得ることができるだけでなく、くり返し言葉にすることで自分自身の悩みが整理されていくというメリットもあります。
「良かったら利用を続ける」「いまいちだったら止める」の考え方でOKです。利用は無料なので、ぜひ積極的に活用してみましょう。
現在30歳で1児のパパ。25歳のとき胃にステージⅠBの癌が見つかり、胃のほとんどと仕事を失う。
自分自身が患者として苦しかったことや、それをどうやって乗り越えてきたかなど、胃がん患者やその周囲の人に向けて「今より生きやすくなるためのヒント」を伝えられたらと、ブログを運営しています。