記事の中身をさらーっと紹介落ち込む気分を前向きに保つための方法を紹介しています。
気持ちを前向きに保つには、「自分自身の状況や感情を客観的に理解すること」「周囲を素直に頼ること」の二つが大切です。
僕自身が実際に行っていた方法の中で、今すぐ簡単に試せる方法を紹介しているので、
ペンと紙を手元に用意してぜひ実践してみてください。
こんにちは、ぽこパパです!
今回は、「胃ガンの治療を受ける中で、気分が落ち込むときに大切なこと」についてまとめました。
ショックを受け止めきれず落ち込んでいる患者さんや、
落ち込んでいる患者さんをどう元気づけてあげたら良いか分からないという周囲の方に向けた内容です。
僕自身、25歳のときに胃ガンを治療した経験があります。
治療が進むにつれて精神的・身体的に疲れてくると、
自分の失っていくものの重さを実感し、気分が落ち込んだり、悲しい気持ちになることが多くなってきました。
「どうしてこんな年齢で胃ガンに・・・」
「あれもできなくなった、これもできなくなった」
「抗がん剤飲みたくないな」
「ご飯を食べて、また気持ち悪くなったらどうしよう」
多くの後ろ向きな考えが、頭の中に浮かんできました。
身体よりも、まず心が不健康だったように思います。
その状態から立ち直り、前向きに治療に臨めるようになる上で大切なことは、
たった二つのことでした。
一つは、「状況や感情を客観的に理解すること」
もう一つは、「周囲を素直に頼ること」です。
本文の中で、それぞれについて説明していきます。
上の二つを実践するための具体的な方法を紹介しているので、
実際に真似してみてくださいね。
「方法」と大げさに言っても、10分もかかりませんし、
用意するものは、『紙とペン』だけでOKです。
このページに書いてあること(目次)
状況や感情を客観的に理解する
悲しくなったり落ち込んだときには、
「うまく食べられないことがつらい」「治療の終わりが見えなくてしんどい」「手術が怖い」といったように、
一つひとつを具体的に認識することが大切です。
不安になったり気分が落ち込むとき、
その原因の多くは「分からない」ことにあるからです。
たとえば、多くの仕事に追われているときを思い出すとイメージしやすいですが、
「あとどれだけ何の仕事が残っているか」を把握しないまま取り組み続けるのは、とても苦痛ですよね。
「どうせ終わんないよ」と投げ出したくなったり、
ついネガティブな気持ちが浮かんできてしまいやすいものです。
そんなとき残っている仕事をリストにして仕事を整理してみると、
案外あっさり仕事が片付いたというような経験はないでしょうか。
嘆いていたほど仕事が残っていなかったということもあるかもしれません。
現状を整理して認識するだけで、気分の落ち込みは大きく改善します。
現状を整理する具体的な方法は、自分の手で『悩みリスト』を作ることです。
ステップは、たった2つ。10分もあればできることです。
ステップ1:自分の気持ちをすべて書き出す
自分が胃ガンについて思うことを、思いつく限り書き出してください。
紙やペンはどんなものでも構いませんし、少しもきれいに書く必要はありません。
うまく文章にできないことは、〇や△で埋めて書き飛ばしてしまっても構いません。
「なんとなく」「〇〇な気がする」もOKです。
とにかく、「もうこれ以上書けることがない」と思うまで書き出すことが重要です。
ステップ2:グループ分けする
書き出したメモをもとに、悩みや不安をグループに分けます。
どんなグループに分けるかは自由です。
『特に嫌なこと』『まだ我慢できること』
『身体に関すること』『食事に関すること』
『調べた上で怖いこと』『よく分からないから不安なこと』
『改善する方法があること』『自分の努力では変えられないこと』など、
分ける区分は思いついたままで大丈夫ですが、
グループがあまり多くても整理できないので、
グループの数は、できれば片手で数え切れる数にしてください。
リストが完成したら、すべてのステップが完了です。
たったこれだけの方法ですが、
リストを作成することで、見えないけれど大きな効果を得ることができます。
リストを作ることで得られる効果
リストを作成することで、3つの良い効果があります。
①悩みを覚えておかずに済む
悩みを頭の中だけで解決しようとするとするのは、
暗算だけで数ケタの掛け算を行うようなものです。
ひっ算やメモを使えば誰でも答えにたどり着けるのに、
頭の中だけでそれを行えば、計算ミスもするし、そもそもはじめから解こうとすらしないかもしれません。
覚えておかなければいけない情報を頭の中から紙に移すことで、その分考える効率を上げることができます。
また、とりあえず紙に記録しておいて、「明日考えよう」と頭を休ませることだってできます。
②「分からないこと」を明確にできる
文字にする中で言葉にしづらかったものについては、
情報が足りないか整理されておらず、まだよく分かっていない可能性があります。
「よく分からない」状態は、ゴールのない漠然とした不安を生みます。
分からないものについて情報を集めていくことで、
漠然とした不安やストレスが解消されることが多くあります。
③悩みを課題に変えられる
自分で書き出した文字を目にすることで、自分の感情を『外からの情報』として読み直すことができます。
以前、脳科学に関する本で読んだことがあるのですが、
同じ悩みであっても、頭の中で考えているときと、目で見ながら考えるときでは、
脳の働き方が異なるそうです。
頭の中で考えるときには感情の分野が強く働くのに対して、
視覚化した悩みに対しては情報処理の分野に反応が起こり、脳が自然と課題解決に向けた働き方をするようになる、という話でした。
つまり、目で見える形にすることで、『悩み』が『課題』に変わるということです。
たとえば『副作用が不安』という感情を精神的に克服することは難しいですが、
『不安である状態を改善する』という課題に変われば、
《副作用が出にくい種類の抗がん剤が使用できないか考えてみる》
《副作用を緩和するケア商品をあらかじめ探しておく》など、
具体的な対策を立てやすくなりますよね。
ストレスや不安を軽減させるだけでなく、現実的な解決策を考えるためにも、
悩みを書き出すという作業は有効です。
④漠然とした悩みを小さな要素に分解して考えられる
悩みを書き出す作業が精神的にいい効果をもたらすという話は、
脳科学者も含め、すでに多くの方が紹介しています。
その中には「ただ書くだけで良い」「書いた紙は捨ててしまってもいい」という人もいますが、
グループに分けてリストに仕上げることも重要です。
グループに分けるという作業は、悩みを小さな要素に分解して考えることになるからです。
例えば、「抗がん剤の副作用が不安」という悩みが『身体的な悩み』グループに区別されるとき、
頭の中では、下のイラストのように考えているはずです。
グループを作るためには、ほかの悩みとの共通点を探すことになります。
そのとき「副作用が不安だ」という漠然とした悩みが、
「吐き気がしたらイヤだ」「脱毛が不安だ」といった、
もっと具体的で小さな要素に分けられていることが分かります。
大きすぎる悩みを一度に解決しようとすると難しいですが、
小さな要素に分けて考えると、具体的な対策が立てやすくなります。
書き出した悩みをグループに分けるというステップは、
漠然とした悩みを小さな要素に分解するためにとても有効です。
ほかの方法との比較
悩みを吐き出す方法として「家族や知人に悩みを話す」「パソコンや携帯電話に打ち込む」といった方法もありますが、
僕は、2つの理由から文字に書き出すことをおすすめします。
人に話す中ではなかなか正直な気持ちを吐き出しにくいというのが、1つ目の理由です。
誰かに悩みを相談したとき、
「ま、とりあえず頑張るしかないもんね。聞いてくれて楽になったよー」とは言ってみたものの、本当はどことなく不安が残ったまま・・・
というような経験はありませんか?
よっぽど信頼できる相手でなければ、なかなか正直に自分の感情をさらけ出しにくいように思います。
もう1つの理由は、書いた文字も、自分の気持ちを客観的に見るための情報になることがあるからです。
パソコンや携帯電話では、勢いよく書いてもゆっくり書いてもまったく同じ文字が入力されますよね。
また、間違えた文字も、バックスペースキーを押すだけできれいに消えてしまいます。
一方、手書きの文字には、勢いよく書いた跡や、言葉を選びながら書いた跡が残ります。
後日読み直したとき、勢いよく頭に浮かんでくる重要な悩みなのかそうでないのかが読み取りやすいことから、
できれば手書きでリストを作ることをおすすめします。
・状況や感情を客観的に理解するには、『悩みリスト』を手書きすること
・目に見える形で客観視することで、『悩み』は『課題』に変わる
・小さな要素に分けて考えると、具体的な対策が立てやすくなる
周囲を素直に頼る
胃ガンに一人きりで立ち向かうことは、とてもつらいことです。
家族や友人など、ぜひ周囲の力を借りてください。
しかし、「周囲に頼るのが苦手」という方もいるはずです。僕も周囲に相談するのが苦手です。
遠慮してしまったり、相手の反応が気になってしまいますよね。
そんな方は、「今は平気なんだけど、つらくなったときには頼らせてね」と言っておくだけでも良いと思います。
「いざというときに自分の事情を知ってくれている人がいる」と思えるだけでも気分が前向きになります。
また、病院の相談室や、公共の電話相談サービスなどもぜひ活用してみてください。
ほどよく離れた関係の相談相手の方が遠慮なく話せることもあるかもしれません。
(相談できる相手を探したい方はこちらのページ⇒胃ガンについて心強い相談相手が見つかる4つのパターン)
おわりに。悩みを頭の中だけに貯め込まないことが重要
今回は、胃ガン治療で気分が落ち込んだときに大切な二つのことについて一緒に考えてきました。
治療に対して前向きでいるためには、
①状況や感情を客観的に理解する
②周囲を素直に頼る
この二つが大切でしたよね。
どちらにも共通しているポイントは、「自分の中だけで抱え込まない」ということです。
頭の中だけで悩みを解決しようとすると、たいていは出口のない袋小路に迷い込んでしまいます。
自分で客観的に見直せるよう文字に起こしたり、人からのアドバイスを聞き入れながら解決方法を考えられるよう、
悩みを一度頭の外に出すことが重要です。
現在30歳で1児のパパ。25歳のとき胃にステージⅠBの癌が見つかり、胃のほとんどと仕事を失う。
自分自身が患者として苦しかったことや、それをどうやって乗り越えてきたかなど、胃がん患者やその周囲の人に向けて「今より生きやすくなるためのヒント」を伝えられたらと、ブログを運営しています。